歯の役割って何でしょう?

審美や自分の歯の維持に注目が集まりますが、歯の一番大切な役割は噛むことです。

噛むことは食事の楽しみにつながります。
また、噛むことは脳を刺激し活性化してくれるともいわれています。

大脳で記憶や空間学習能力にかかわる海馬という部分があります。
年齢とともに海馬は萎縮し、進行すると物忘れなどの現象がみられるようになってしまいます。
この老化現象である海馬の萎縮は鍛えることで再生し、その結果、脳の老化を防げることが元神奈川歯科大学教授 斎藤滋氏の研究で明らかになりました。

噛むことは脳への刺激になり、海馬の神経細胞をも活性化させます。
海馬の神経細胞が活性化されることは、物忘れなどの老化現象を防ぐことにつながります。

また、斎藤滋氏の調査によると、現代人の噛む回数は戦前と比較すると大幅に減っていることがわかりました。

戦前は1回の食事における咀嚼回数(噛む回数)1420回なのに対し、現代人の1回の食事における咀嚼回数は620回。
同調査では1回の食事の時間が短くなっていることも明らかになっています。

歯ごたえのあるものを敬遠し、ファストフードのような短時間で済ませられるような食事を好む現代人の傾向がはっきり現れていますね。
現代人の噛む回数の少ない食生活は、脳の老化を進めてしまっている可能性があります。
これをストップするには、よく噛むことが大切です。
理想は、一口当たり30回噛むこと。
1回の食事に換算すると1500回に当たります。

「よく噛む」の土台となる部分が、歯を含めた口の中の健康です。

虫歯があったり、欠損したりしている歯があれば本来の噛む力を発揮できません。
ブリッジや入れ歯があると本来の噛む力の6割程度になってしまうともいわれています。
噛む力は歯によるものだけではありません。物を噛むとき歯には相当な力がかかっています。

その歯を支えているのが歯茎。

歯を支える歯茎が、歯周病などによりダメージを受けていれば、それも噛む力の低下につながっています。
歯周病は進行するとあごの骨の変形を伴ったり、歯が抜け落ちてしまったりする要因となりますので注意が必要です。

また、噛むという動作に欠かせない顎の動きも重要です。
顎関節炎などのあごの病気にも合わせて注意が必要です。

噛む力はよく噛むことで鍛えることができます。
普段からあまり噛んでいない人は、意識してよく噛むとあごに疲労を感じることもあります。
そのような場合は無理をせず、徐々に噛む回数を増やしていってみてください。
噛む力を鍛えるには、柔らかい物ばかりでなく意識的に歯ごたえのあるものを食べるのもおすすめです。

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